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婚約破棄の慰謝料請求
婚約とは
婚約とは、結婚の約束をすることです。書面でのやり取りがなくとも、当事者同士の口約束、両親への結婚の挨拶や親族への披露などによって婚約が成立したとみなされます。
「単なる交際関係であり、婚約まではしていない」という反論もよくなされるため、婚約が成立していたことを示す事実、証拠(結納、親族への挨拶の様子を撮影したビデオ、メールでのやり取りなど)を整理しておく必要があります。
婚約破棄とは
婚約した以上、結婚に向けて相互に誠実に努力する義務が生じます。そのため、正当な理由なく一方的に婚約を破棄した場合には、債務不履行または不法行為として、相手に対し損害賠償の義務を負うことになります。このため、婚約破棄の事案では、「婚約破棄に正当な理由があったかどうか」が大きく争われるケースが多くみられます。
「正当な理由」が認められた場合として、
相手方が挙式の直前無断で家出して行方をくらませた場合(大阪地裁昭和41年1月18日判決)、相手方が他人と事実上婚姻をした場合(最高裁昭和38年9月5日判決)、相手方に虐待、暴行、侮辱などの行為があった場合(東京高裁昭和48年4月26日判決)、男性の方に女性と正常な性行為をすることができない肉体的欠陥があったとき(高松高裁昭和46年9月22日判決)などの場合があります。
また、結婚式当日の服装、態度、礼儀等についてわきまえがなく、結婚初夜においても乱暴な行動があるなど、新郎の側に社会常識を相当程度に逸脱した異様な言動があったとして婚約破棄の正当事由を認めた裁判例もあります(福岡地裁小倉支部昭和48年2月26日判決)。
婚約破棄の慰謝料の相場
慰謝料の額は、婚約期間、性的関係や妊娠の有無、双方の社会的地位、婚約破棄の理由、婚約破棄までの経緯、被害者側の精神的損害・実損害の程度などを総合的に判断して決定されるため、一概に相場を判断することができません。過去の裁判例をみると概ね100万円から300万円程度の慰謝料が認められていますが、数十万円の慰謝料しか認めていないケースもあります。
婚約破棄の慰謝料の請求方法
正当な理由なく婚約を破棄された場合には、相手方に対して慰謝料を請求することが出来ます。逆に正当な理由として挙げられるのは、不貞行為の発覚、性的に無能力、暴力を受けた、などの事情です。
婚約を破棄され、慰謝料を請求する場合には、書面やメールなど、できるだけ証拠を残しておきましょう。
交渉がまとまり、慰謝料が支払われることになった場合には、公正証書など書面にしておくとよいでしょう。
書面を作成する場合には、事前に弁護士に相談することをお勧めします。特に分割で慰謝料の支払いを受ける場合、確実に最後まで弁済がされるように示談書の内容を工夫する必要があります。
たとえば、法律に詳しくない方が作成した示談書は、期限の利益喪失条項(分割金の支払を怠ったときに残金を一括で請求できるという条項)を入れるのを忘れがちです。この条項がないと、相手が分割金の支払を怠るようになり財産の仮差押えしようとしても、弁済期が到来している分割金についてしか差押えができないという問題が生じます。
具体的には200万円の慰謝料を10万円ずつ支払う示談の場合で、期限の利益喪失条項がないと、分割金の支払を3回遅れたので、相手の財産を仮差押えようとしても、既に弁済期が到来した30万円についてしか差押えることができず、債権の回収に支障が生じます。
当事者間での交渉がまとまらない場合にも、早めに弁護士へのご相談をお勧めします。
婚約破棄は、これから結婚を控えた未婚の男女の問題であるため、双方とも裁判などは避けたいと考える傾向が強く、裁判を行わずに、協議での解決を目指すのが一般的です。弁護士が代理人として介入することで、協議がまとまらなければ裁判になるというプレッシャーを相手に与えることができるので、早期に解決できる可能性が高まります。
もっとも、それでも相手方が事実を否定するなどして支払を拒絶する場合には、裁判もやむを得ない場合があります。
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